国立国父紀念館(こくりつこくふきねんかん、英語: Sun Yat-Sen Memorial Hall)は台北市信義区にある記念館。博物館としても分類される。名称の国父とは孫文のこと。11ヘクタールの敷地をもつ中山公園の中に建っている。なお、英語表記は孫文が欧米では別号「逸仙」の広東語ローマ字表記である"Sun Yat-sen"で知られていることによる。1866年生まれの孫文の生誕100年を記念して建設されたもの。1968年に着工し、1972年5月に竣工した。設計は大洪建築師事務所の王大閎 (zh)、施工は毅成建設であった。30.4メートルの高さをもつこの記念館は中国の寺院風の外観を持ち、南に構えられた正面入口の庇は大きく反っている。「カブトムシの角のよう」と例えられるこの庇の反りは、内部の高さおよび採光確保のためと考えられている。屋根は黄色であるが、この色は陰陽説を応用した物で、黄色は「地」すなわち「陰」を意味しているとされる。入口は公園のレベルより高く、少し階段を上る必要がある。正面入口の扁額『国父紀念館』の字は蒋介石によるもの。階段を上ったあとは記念館の外周に沿って回廊状となっており、正面以外(東西北)の各辺からも内部へ至る入口が設けられている。正面入口から入ると吹き抜けになっている空間が開け、正面には孫文の8.9メートル座像が置かれている。その像を守備するための衛兵が手前左右に立っており、衛兵交代式は毎時0分に行われている。この広間の左右には展覧室への入口があり、左手(西側)の部屋では孫文の生涯が、右手(東側)の部屋では史蹟が展示されている。孫文座像の裏手は大会堂で、こちらも3階までの吹き抜けになっており、2600人ほど収容できる規模を持っている。各所に階段があり、地下1階地上3階までアクセスできる。地下は資料室や自習室があり、カルチャースクールなども開催されている。2、3階は個室になったギャラリーが複数あり、それぞれ書画などの展示に利用されている。2階東側には孫逸仙博士図書館があり、蔵書は30万冊以上という。2018年、台北市政府文化局の審議を通過し、2019年5月に直轄市定古蹟に登録された。